木の種類
ヒバ
針葉樹 ヒノキ科
北海道南部から四国、九州まで分布。
天然林は青森ヒバが有名。造林産地は能登等一部。
ヒノキアスナロ、アテ、アスナロ、の総称。常緑高木で、樹高は20から30m。鱗状の葉の形がヒノキに似ているが、大型なので見分け易い。灰褐色の樹皮が、薄く長くはがれ落ちる。
特徴
ヒバは東北地方から北海道に見られる『ヒノキアスナロ』と能登に見られる『アテ』と同種で、本州から九州にかけて見られる『アスナロ』が建築材に使われます。関東方面では『青森ヒバ』関西地方では『能登ヒバ』が多いようです。
ヒバの特徴は第一に虫や木材腐朽菌に強いこと。昔からヒバの家には蚊が三年寄り付かないと言われ、とくにシロアリに対する強さは他の樹種には見られない程です。これはヒバには殺菌性のあるヒノキチオールが多く含まれているからです。腐りにくく、耐水性もあって湿気にも強く、強度もヒノキと同等という特性を生かし土台や柱、浴室、ベランダなどに用いられます。
ヒノキ
針葉樹 ヒノキ科
本州福島以南から四国、九州、屋久島まで分布。天然林木曽、飛騨、高野山、高知等。
常緑高木で、壮麗木の樹高は30~40mになり、樹形は卵形。鱗状の葉は先が丸く、葉の裏側には白色のY字をしら気孔群が見られる。
特徴
ヒノキの由来は『火の木』つまり火起こしに使う木に由来すると言われます。火をおこせるほど内部まで乾燥していてくるいも生じにくいという特質をもち、古くから建築に使われてきました。戦後、ヒノキもスギと同様に拡大造林されました。針葉樹の中では成長が遅く、同じスギよりも伐採時期が遅いため割高になってしまいます。
木口を見ると芯材と辺材の差があまり無く、シンプルな表情をしています。辺材は黄色っぽい白色で、芯材は淡い桃色です。美しい艶のあるきめ細やかな木肌で独特の香気を放ちます。
耐久性に優れたヒノキは家の各所に用いられますが、特に建物の寿命に影響する、柱や土台に最適です。緻密な年輪は硬く虫がつきにくい成分ヒノキチオールを含んでおり、芯材は耐朽性の高さでも知られています。
ケヤキ
広葉樹 ニレ科
本州から四国、九州まで分布。
天然林は十和田湖、奥利根など。
落葉高木で、樹形は盃形、高さは30m。灰褐色の樹皮は、老木になると鱗状にはがれ落ちる。細い卵形の葉は2~7cmで、縁がギザギザしている。
特徴
かつては大黒柱といえばケヤキが多く、力が集中してかかるところだけに、木目の凛々さが家を守る父親に見立てられたのでしょう。広葉樹の中では最も建築資材に向いていた材で『広葉樹の王様』とも呼ばれます。固くて強度があり、耐水性や耐朽性に富み、構造材にも利用されましたが、最近は量が少なく高価なためあまり構造材として使われなくなりました。
黄色みを帯びたつやのある材で、芯材と辺材の差がはっきりしていて芯材はやや赤みがかり、辺材は淡い色合いです。肌目が粗く、木目にも男性的といわれることもあり、上がり框や床の間などの化粧性を重視する造作材に用いられます。
また樹齢300年以上の物は玉杢(タマモク)、如鱗杢(ジョリンモク)などの珍しい木目を見せることもあって、最高級の銘木とされます。また空間にあわせて大きめのテーブルがつくられることもあります。
クリ
広葉樹 ブナ科
北海道西南部から四国、九州まで分布。
産地は福島、長野、島根。
落葉高木で、樹高は20~25m。
特徴
一昔前までは庭木に多く見られたクリは、その実を縄文時代から食用していたといい、古くから日本人の暮らしになじみ深いものでした。しかし、現在は産地での蓄積量が減っていてかずの少ない高価な材となりました。
地方によってはクリの木を柱に用いてきたところがありますが、最も適しているのは土台です。重くて固くて粘りがあるが、あばれやすいという欠点は架構の最下部において押さえ込む。性質が上手に使われて家の骨組みと重量を支えるのです。
白蟻や木材腐朽菌に有効なタンニンを含んで腐りにくく、特に芯材は耐水性にも優れていることから、湿気の多い浴室などの水廻りにも用いられます。最近はガーデニング用としてクリの枕木がよく使われています。
マツ
針葉樹 マツ科
天然林は北海道南部から九州まで。
常緑高木(アカマツ、エゾマツ)落葉針葉樹(カラマツ)で樹高はそれぞれ20~40mになる。
特徴
生長が早いマツは将来の建築資材として戦後に大規模な造林が行われました。伐採期を迎えた木が豊富に揃い価格も割安です。脱脂乾燥技術の開発によりフローリング材などの内装建材が開発されました。
マツはヤニを含み昔から手の触れにくい梁に利用されました。硬くてねじれるくせがありますが、強度があり丸太梁として使われているのを古民家などで見ることができます。
サワラ
針葉樹 ヒノキ科
岩手県以西、九州まで分布し、本州中部の産地が有名。
日本特産の樹種で常緑高木。樹形は円錐形で高さは30~40m。灰褐色の樹皮はスギに似ていて、縦に細かくはがれる。
特徴
『ヒノキよりもさわらか』つまりさっぱりしているということから名がついたサワラ。ヒノキによく似た樹種です。人工造林もされていますが伐採量に限りがあります。サワラの芯材は赤みがかかった黄色で、辺材に近づくに従いピンク色になります。
水や湿気に強いことが特徴とされ、木目にそって真直ぐ奇麗に割れる性質を利用して水切れの良さを求められて外壁材に用いられたりします。特に天然木は耐朽性に優れ、目が詰まった材で浴室、樽、桶などもつくられたりします。
木目が真直ぐに通っているのと、スギとヒノキの中間といった触り心地の良さからフローリングとして使われます。以前はヒノキよりも割安だったのですが、近年控えめな表情や、柔らかな香りが人気を呼び人工林も少ないため希少になってきました。
スギ
針葉樹 スギ科
本州北部から四国、九州、屋久島まで分布
天然林は秋田スギ、屋久スギが有名。
ヒノキと並ぶ代表的な針葉樹で日本固有の常緑高木。樹形は円錐形で高さは40m、巨木では60mに達する。
特徴
スギの名は『直ぐ』からきていると言われるように、ほぼ円形の樹幹が大地から真直ぐに伸びます。芯材と辺材の差がはっきりしていて辺材は淡い黄色を、芯材は濃い茶色をしたものが多く、源平と呼ばれる赤身と白太が縦模様になった材もとれます。
ヒノキに比べ柔らかなスギは以前は柱に使えても梁にはたわんで使えないと考えられていました。しかし徳島では昔からスギで建てられた堅牢な家があり、地元ではスギの曲げに対する強度を科学的に調査をし、樹齢70年以上の木を使えば梁材として充分に使えることがわかりました。
こうしてスギは柱や梁などすべての構造材(土台は除く)に、床板や天井板などの内装建材に丸ごと使えます。
トガ
針葉樹 マツ科
福島県以南から四国、九州、屋久島まで分布。
産地は長野、静岡、高知、宮崎など。
常緑高木で、樹高は20~30m。樹皮の色は赤みが強い。新緑色の艶のある葉は、長さ1~2cmの線状で、先端が少しくぼむ。
特徴
関東方面では『ツガ』とよばれ西日本では最高級の材料を使った数寄屋もつくられました。針葉樹のなかでは非常に固いこと、ほぼ真直ぐに通る木目が鮮明なことが特徴です。
水にはあまり強くないので床柱、床廻り、長押、敷居、縁甲板天井板など主に内装材に使われました。信州にあるよく似たコメツガは同属で風雪とともに生きてきた年輪は緻密でかたく、床材や梁材に使われています。